M8 が登場したからと言って、太陽が西から登る訳ではありませんから、大勢に影響ないんですが Leica ファンに取っては一大事ですから、絶賛から無視まで受け取り方はいろいろあります。但し、それらは 「M8 だぁ!」と登場した新型 M のインパクトによるものであって、あまり細かな内容を検討して賛否を言っている訳ではないと思います。少し、話題を絞り込んで思う事を書いてみたいと思います。
CCD :
掲出した画像は、KAF-10500 という KODAK さんが、M8 専用に開発した CCD です。正方ピクセル(6.8μm X 6.8μm) を持つ、フルフレームトランスファー CCD で低ノイズ、高ダイナミックレンジ、高感度をうたっています。で、高感度と言う割には、ISO 160-2500 という変則的な設定値で、これまで銀塩で培って来た絞りとシャッター・スピードの勘は、だいぶ修正が必要になりますが、アベイラブル・ライトを信条とするライカファンにとって満足のいくものであるとしていますから、ノイズ・レベルに関して期待して良いのかもしれません。DMR は、ISO 100-800 (ISO Push で、1600) の範囲かつ、実用レベルは ISO 400 という感じでしたから長足の進歩を遂げています。また、高輝度側でのクリッピングにも強いと KODAK さんは発表しています。シャッター・スピードが 1/8000 sec. までありますから、日中でも開放描写が楽しめますし、逆に ISO 2500 を活かして、夜でも絞り込む事が可能になります。
ITO (Indium Tin Oxide) :
導電性が有りかつ85~90%の可視光透過率を持つ透明電極を用いています。カスタム CCD かつ Indium を用いてますから高価なのかなぁ?
色空間 :
sRGB, Adobe RGB に加えて ECI (European Color Initiative) RGB が加わりました。製版、プロの要請かな?
ファインダー倍率 :
これは 0.68X しかありません。24mm の枠線が視野内に入るのはいいのですが、50mm や 75mm を装着した場合の枠線は、あまりにも小さいと思います。折角、外付けファインダーが 28mm まで対応しているのですから、特に 24mm の枠線を入れる必要は無かったと思いますし、ピントにシビアーな 1000 万画素超のデジカメですから、倍率を下げるのは何故なんだろうと疑問に思ってしまいます。
Capture One LE :
Adobe 社が提唱する DNG フォーマットにも関わらず、何故か RAW 現像ソフトは Phase One 社の Capture One LE が付属としています。確かに、Adobe 社のカメラ RAW は、発色が素人目にもおかしいところがあって、Leica Forum でも大多数のプロ/アマが、Capture One をチョイスしていましたから判らないではないのですが、業界の不思議です。デジタル全体を纏め上げたと言われる jenoptik 社と Phase One 社の関係なのか、それとも違った絡みがあるのか謎です。
6 bit coding :
CCD 上のマイクロレンズのオフセットによるハードでの対応では追いつかず、不足する周辺光量をソフト的に補正をする為、レンズ毎に必要情報をレンズ側マウント基部に彫り込んだものですが、RAW での撮影では補正はないそうです。
露出補正 :
露出補正ダイアルやレバーは見当たりませんから背面液晶のメニューから選ぶのだと思いますが、頻繁に使う人にとっては面倒な作業が増えました。シャッターボタン半押しで AE ロックが可能ですからそちらを使えと言う事でしょうか?
シャッター・ダイアル :
M6TTL, M7 と同じつまり M6 までとは逆方向にシャッタースピードが並んでいる事になります。そう考えると、MP の登場は、銀塩の最後の仕上げだったんだなぁ、、と感慨深いです。
セルフ・タイマー :
シャッターボタン基部に設けられた切り替えスィッチで簡単に切り替えられます。DMR と言うか R8/R9 よりも使い易いと思います。考えてみるとセルフタイマーの復活は、M5 以来です。
記録媒体 :
4 GB までの SD/SDHC に対応と発表しているところと SD と発表しているところがあります。但し、同時発売の Digilux 3 (Panasonic DMC-L1 同等品)が、SDHC に対応しているので時間の問題だと思います。
尚、RAW と jpeg の同時記録に対応しました。
バッファー :
連続でどの程度バッファーに蓄積可能か表記がありません。高速 SD カードの場合は、カード容量一杯まで大丈夫かもしれません。一部では 10 枚までとの表記があります。日本のメーカーのバッファー容量よりかなり少ないのですが、16bit A/D ですし、あまり連写するカメラではありませんから良しとしましょう。
電池の持ち :
今のところ記載はありませんが、使っている CCD の暗電流が高いレベルなのが気になります。
外部接続 :
USB 2.0 で、DMR の Fire Wire (IEEE1398) から変更されています。転送速度の問題はどうでしょうか?
使用不能レンズ :
M-Hologon 15mm/f8, 近接 Summicron 50mm/f2, 沈胴 Elmar 90mm/f4。
これら以外のレンズでも沈胴レンズの場合は、沈胴させない状態でのみ使用可能です。
135mm レンズは、使用可能であるがフレーミングが不可能、つまり 0.68X の倍率では、135mm を使ってのまともな構図は確認出来ないと言う意味でしょう。
背面液晶 :
レビュー時の最大拡大倍率が 1:1 になりました。
グリップ :
同時に発売されるグリップはどうも底蓋ごと取り替える形式の様です。安定度は増しますが、どうでしょうか?
ネオプレンボディケースとストラップ :
R8/R9 用のものも欲しいです。
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