M8 の問題点
本家のライカ・フォーラムに於いて、喧々諤々の論議を呼んでいるのは、現在のところ以下の 3 点である。
1) 黒の布地等のマゼンタ被り。(Magenta casting on certain black items)
2) 灰色部分のグリーン被り。(Green casting as a result of compensation of 1))
3) 高 ISO 設定時、光源から帯状のノイズが画面横方向或は縦方向に出る。(Streaking)
1), 2) に関しては、WB (ホワイト・バランス)設定の問題かという議論から始まったがとどのつまり、IR カット・フィルターによってカットしきれない赤外線を CCD が拾ってしまう事に起因すると結論めいた答えが出された。実際、M8 に装備された CCD は、Adobe RGB の範囲を超え、可視光ではない近赤外線まで拾ってしまうのである。実際の撮影では黒いコートがエンジ色に写ってしまったりしているようだ。これに対してライカ社は公式見解に近い線で、IR カット・フィルターを各レンズの前面に装着する事に寄って解決出来ると表明しており、専用UV/IR フィルターの発売を示唆している。
3) に関しては、Nikon さんの D200 の初期型で問題になった、バンディング (Banding) とは違い、高 ISO 例えば、ISO 1250 等に設定し、比較的暗い場所を撮る際に、タングステン光、水銀灯等の高輝度の発光体が入ると、その輝線より薄い帯状の縞が横方向に入る現象を言っている。
これらの問題に関し、ライカ社は製品の出荷をすぐに止め、原因を究明し対策を施した上で再発売すべきだという意見、購入の見合わせを宣言するプロ、購入はするがファームウェア及び今後の改善を期待するといった穏健派まで入り乱れての大論争である。1), 2) の問題の根本的解決は、現在厚さ 0.5mm と伝えられている CCD 前面の IR フィルターをなんとかしなければならず、実質、CCD ユニットの交換が必要になるのでは、と思っている。3) に関しても高 ISO つまり、増幅された信号を扱う部分に、高輝度の発光体があればオーバーフローを起こし、他のピクセル情報に影響を与えるという CCD の根源的問題があるのだと思う。製品としては別物の DMR まで引き合いに出されて、DMR では上記 1), 2), 3) の問題は無いと言う御仁が居るかと思えば、いやいや DMR でも 3) の問題はあったとか。更に、EOS 1Ds Mk II でも初期型はど〜の、こ〜のと出てくる出てくる。更にその問題点指摘に対して、M8 バッシングだ、、いやこれは愛の鞭だといやはやなんとも。少なくともこれらの現象(症状)は、ライカ社の開発陣は認識しているようだから、ライカ社の公式見解を出せとかなんとか。さて、写真で飯を食っている訳では無い筆者であるから、IR カット・フィルターが必要であれば買うのだろうし、高 ISO では殆ど使わないから気にしないというのが本音であるが、使用状況では気になる方々も多数居らっしゃるのではと思う。いずれにしてもライカ社の対応策(収拾策)を見守りたいと思う。
尚、RAW ファイルでは作業していないが、jpeg ファイルでは、Photoshop CS2 の トーンカーブ RGB の内、R(RED) をいじる事で改善する。但し、中〜高輝度はいじらずに、低輝度側のみをいじって赤紫→黒と変化させる事は可能であるが、同様の輝度の被写体がある場合、それらがグリーン、ブルーがわにシフトした状態となるのでソフトによる後処理は抜本的な解決方法では無さそうである。
Comments
いまライカ社は大変な時に来てますね、たぶん1)を直さぬとプロには売れないと
思います。どう解決するかは別として直さねば先細り、リコールすれば経済的な
打撃大、どちらにしても正念場です。前者では確実にライカ社の終焉となりましょう。
ところでM8の予約で実機の在庫が知らされたらどうしようか迷ってます、ライカ社は
何か発表するでしょうか。兎に角「待ち状態」ですぅ、ああああ。
Posted by: KOJI | Friday, 10 November 2006 00:35
近々(一両日中)、Leica Newsletter に述べられる内容になるそうです。基本的には既発売分も含めてのリコールで、ソルムスへの送付→ fix して送り返す。という流れになると思います。(但し、現段階ではどのように fix するかという事も含めての議論になっていると思われます。)M8 の在庫があればお買いになれば宜しいと思います。そして、ライカ社送りして問題を治して貰いましょう!日本では未発売状態ですから、おそらく発売時期を延期するのだと思います。(ごく少数、入荷したと言う噂も聞いておりますが。)
経営のいろはを言う気はありませんが、今回のライカ社の対応は一義的にはライカ社の経営環境が厳しくなる事を意味しますが、長期的にはユーザーからの信頼を勝ち取る千載一遇のチャンスであるとも思います。
Posted by: 野本 巖 | Friday, 10 November 2006 00:52