M8 Firmware Ver. 2.0
既に、アップデートされた方も多いと思うが、この新しい Firmware で、M8 にどのような機能が付与されるのか、どこにも詳述されていない。正確には、ライカ社のダウンロードサイトにある Instruction Firmware Update にごく一部が載っているのみである。しかも、難解な AUTO-ISO 機能に関しては、M8.2 の取扱説明書の p. 121 を参照するように指示しているが、そもそも現時点では、M8.2 の使用説明書そのものがダウンロードできる体制になっていない。ライカらしいと言えば、それまでだが、、、ずぼらと鷹揚さと混同してはならないと思う。さて、不明な点も多いが、解説してみたい。
M8 (M8.2 ではない)にアップデートによって付加される機能。
1) SDHC への対応。(最大 32GB まで)
これは、歓迎されるべきと言うか当然の対応だと思う。ライカ社は、全ての SDHC に関してテストする事は不可能という理由から、Extream III や Professional と表記された SanDisk 或は Lexar の SDHC の使用を勧めている。「全種類をテスト出来ないので、、、」と言うのは、日本のメーカーでは考えられない、、、笑うしかない。しかし、DMR は、最後まで SDHC 対応してくれなかったからまだ良いとも言える。
2) AUTO-ISO 機能の付与(原則 A モードでの使用を前提にしているのだと思う。)
これが、難題である。概念としては、ISO 値を可変とする事によって、低照度下において一定のシャッター速度よりも遅いシャッター速度になる場合、手振れ等の防止の為にシャッター速度を固定しその代わりに ISO 値を自動的に大きく(感度を上げる)するという機能である。
まず、M8 を起動し、SET ボタンを押す。最上段にある ISO を選択し、再度 SET ボタンを押す。最上段の AUTO ISO を選択し、SET を押す。これで、AUTO ISO 機能を使う前準備が完了。
次に MENU ボタンを押し、ホイールを回すと ISOオート設定 (AUTO ISO Setup)という項目が現われる。余談だが、筆者は M8 の日本語フォントがあまりにもお粗末なので、MENU ボタンを押す度に幻滅して写欲を失ってしまうのを防ぐ意味で、言語設定は常時 English である。SET ボタンを押すと最長シャッター速 (Slowest speed)、 最大ISO(Max ISO)なる 2 つの項目が表示される。最長シャッター速、、、言語明瞭意味不明瞭、、、と言うのかこういう言葉は筆者の不勉強のせいか、カメラ用語として聞いた事が無いのだが、、。いっその事、そのまま英語で良かったとも思うが、、、。最長シャッター速、、、を選択し、SET ボタンを押すとレンズ依存 (Lens dependent)(後述)及びシャッター速度の下限を示す数値が現われる、カメラ側の判断として、ある状況で、シャッター速度がその数値以下になりそうな低照度の場合に、ISO が自動的に変化して、「なるべく」その下限を下回らないようにしてくれると言う事である。状況によってどうしてもセットした下限を越える場合は、ファインダー内でシャッター速度の数値が点滅して警告するのである。
次に最大ISO、これは、ISO 値が可変するような場合に、最大どこまでの ISO 値を許容するかという意味である。ISO 値の上昇は、結果として画像のノイズが増すと言う問題があるので、撮影者の許容範囲を聞いて来ているのだ。
Manual (シャッター速度と絞りをあらかじめセットした状態)で使用した場合の挙動であるが、カメラのシャッター速度の設定と同じ速度を ISOオート設定の最長シャッター速にセットすれば、そのシャッター速度及び一定の絞り値で、カメラが ISO 感度のみをコントロールして適正露出が、得られる事になる。敷衍すれば、銀塩時代まで絞り値とシャッター速度の関数として光の量をコントロールして来たのに対して、更に ISO 感度の変更というもう一つの変数が増えたという事である。
レンズ依存は、6bit コーディングされたレンズを装着し、カメラ側で読み取るようにセットした場合、、レンズ検出 (Lens Detection) を入 (ON) にする、、、それぞれのレンズの焦点距離に合わせて最長シャッター速が決められるというものである。つまり、手振れ防止のために、広角は最長シャッター速が遅く、望遠は最長シャッター速が速い、、、となる(あくまでも速い遅いは比較としてであるが)。筆者のテストでは、75mm/f2 レンズでは、1/180 sec. が、最長シャッター速となり、28mm/f2.8 では、1/90 sec. が最長シャッター速になった。また、コーディングされていないレンズ或は、レンズ検出を切にした場合は、一律、1/60 sec. が最長シャッター速になるようだ。M8 の場合、ISO 1250 程度までは実用になるので、使える機能ではある。
3) 本ファームアップは、不可逆的なもので、一旦 Ver. 2.0 にしたものは、以前のバージョンに戻る事はできない。
以上である。
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