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Wednesday, 24 September 2008

R10 と S2

これは、筆者の個人的な所感を述べたものである。

と、大層な「お断り」をしてみたが、今回のライカ社の S2 の発表に接して、このデジタル・カメラが数年後にどういう評価を得るのだろう?と素朴に想像してみた。極論すれば、売れるのか売れないのか?もっとハッキリ言えばライカ社のホームページを飾り続けるのか、それとも片隅に追いやられるのか?である。

この際、価格は問題では無い。なんとなれば、今回の発表が仮に 35mm フルサイズ・センサーを搭載した R10 だとすれば、筆者は、全てを投げ打ってでも入手に動いたと思う。が、蓋を開ければ S2 である。一説には、ライカ社は命運を掛けて開発したという。現在考えられる最新のテクノロジーを纏い、華々しい登場である。有機液晶の美しい表示、全体のフォルムについても問題は無い。が、何か引っ掛かる。その事を、じっくり考えてみた。

まず、ライカ社は「逃げたな」と思った事である。つまり、オスカー・バルナック氏、自らが開発したライカ判の別称さえあるフォーマットを積極的に捨てたのではなく、Canon さん、NIkon さん、SONY さんの製品を凌駕する事は不可能と感じて逃げたのである。経営判断として、逃げる、、撤退する事は、必要な場合もあるし、それはそれである種の見識だと思いはする。その言い訳ではないのだろうが、やや大きめのフォーマットを創造し、あわよくば機動性に劣る中判デジタルの代替機マーケットを食いつつ、高画質指向の 35mm 版デジタル・ユーザーも取り込めるのではないか、、苦肉の策である。筆者も、企業戦略としては「これ」しかないだろうとさえ思うが。次に、思ったのは R System との関係である。ライカ・ヒエラルキーの頂点に S System を置き、M System は、独特の存在を誇示し、、、R System は、正直言って、不必要なのだろうが、マイナーとは言え、これまでの顧客がいるのだから切り捨てはしない。が、後回しになったのであろう。今後の、主力商品は S System であろうことは、誰の目にも明らかだ。但し、と筆者は思う。万一、S System を簡単に凌駕するような機種、、、これは、日本のメーカーが「その気」になれば、簡単な事である、、、が出たり、技術革新によって 中判デジタル市場全体が収縮していくような事にでもなる、或は、S System が、一部のお金持ちの玩具になってしまった場合の保険として R System を堅持すると言う見方もできる。ライカ社は今でも R10 を出すと言っているが、果たして R System が、今後もライカ社にとって必要なものかどうかは、S System の成否に掛かっている気がしてならない。

そして、筆者の最大の懸念は、S System は、どこにも還る所が無い事である。つまり、M 型、R 型は、フィルムに戻れば使えるシステムである。勿論、M8、M8.2 やライカ社の言う通り一体型の R デジタル機 (R10) が出れば、それらに限っては、単なる箱になる恐れはあるが。少なくとも蓄積して来たレンズ資産は十分に活用出来るフィールドがあり、テクノロジーの進化とは無縁に自身の写真趣味をそこで閉じてしまえば、恐らく残された人生をより楽しめるのだとさえ思う。最近は、歳のせいか素直に物を見なくなった、、、いや、臆病になったと言うべきか。

尚、S2 の販売は、早ければ 2009 年春。価格も Euro 15,000.- を切るのが目標だと言う。また一部情報では、S2 にクロップ機能が搭載され、R-S レンズ・アダプターによって、R レンズの使用も視野に入れる可能性があるらしい。この場合、計算上では、35mm フルサイズ、 2000 万画素超のデジタルカメラとなる。

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Comments

お久しぶりです。
野本さんらしくないですねえ(笑)私もDMRそしてM8と使ってきてますが、M8ではっきりとライカが目指しているものが透けて見えました。厳密には135とは違いますが、135ライクの一眼レフ形式であれば、全てのメーカー含めてこれ以上の画質向上はなかなか難しいと思います。ライカ判を作ったとき同様、フォーマットを感材の特性にあわせて作ったという感じでしょう。私はPHASEONE P25を使ってますので、その絵を見る限り、ライカがやろうとしてることが納得できます。そして、国産メーカーがこんなことを絶対やらないでしょうねー。その気になることすら「絶対に」無いと思いますよ(後発はあり得ても)

R10の開発まで手が回らないのでしょうね。Rユーザからすればやきもきですが(^^;) 撮像素子もそれを包む周辺チップもソフトも今後進化はしますし、時期尚早だと考えているのだと思います。135ライクなデザインに、バランスを伴って入れ込めるようになればやるでしょう。レンズ資産を持つユーザが居る以上、あとは採算ベースの世界でセールスのマネジメントを考えればいいだけですので、S2なんかに比べれば猛烈に簡単なことです。もちろん、フルサイズを手っ取り早く載せるのはキャノン・ニコンを見れば出来ないことは絶対にないと思います。ただやらないんでしょうねー。

135ライクのシンボリックな存在、1DS MARK3は自分も使いましたが「まだまだだなあ」というのが正直な感想です。PHASEの資金にレンズ資産とともに化けました。そして、M8について正当な評価?をしている人が結構少ないなあと思います。色々と目をつぶらなきゃいけないところがたくさんありますが、M8が叩き出す絵は危ういけれどかなりのもんだと思います。

デジタルの現状は、とりあえずまだまだ過渡期で、大上段から降りてくる過程にあると思います。汗と涙と引き替えに怒濤の万札の束を投げうって猛烈に高い物を買うか、下の物で納得するかという付き合い方で、低コストで確実に納得したければフィルムしか選択肢はないというのが個人的な感想です。つまり、完成されたパッケージングの上に画質という物が成り立つと思うのですが、その面でフィルムのシステムに勝てないということだと思います。

全ては感材が変わってしまったことに起因することで、連続した波長を符号化することは、本当に大変なことなんですね。つくづく自然の仕組みには勝てないなあと感じてしまいます。

Posted by: shingai | Wednesday, 24 September 2008 09:54

長文でした。野本さんの文章に触発されてついタラタラと。。すみません。
1つだけ付け加えさせてください。S2みたいなのをやるからライカがライカたる所以だと思います。消えてておかしくない企業ですもんね(笑)消えてない事実が全てだと思います。あともう一つ。Rシステムは、現状DMRでもかなりのもんですよねー。あとフィルムでもデジタルでも双方共に納得する写りのレンズ群がスゴイです。こんなの他のメーカーでは結構無いことですよね。フィルムではよかったけど、デジタルでは・・・という。他のメーカーが悪いと言うことではなくて、物作りの考え方の違いだと思います。

Posted by: shingai | Wednesday, 24 September 2008 09:58

Shingai さん、

素晴らしい、分析有り難うございます。

全くおっしゃる通りだと思います。アタシは、銀塩時代からいろいろ使って来てライカに辿り着いて、もう 20 年余り、、、。でも絶対ではなくて、色々、浮気しながら来ましたから。

穿った見方ですけれど、R10 を先に出さなかったのは、他社と比較されて散々、コケにされると、、、S2 もコケるから、、、(^^;"ゞだから、文句言われないように唯我独尊の S2 出して、、、R10、、、マーケティングの「いろは」なんでしょうネ!

Posted by: 野本 巖 | Wednesday, 24 September 2008 11:32

すいません暑苦しいヤツで(苦笑)野本さんの機材インプレいつも楽しみにしてます。別に取って付けたように書いてるワケじゃないんですよ(笑)

R10出しても野本さんの言われるとおり色々とボケかますでしょうねえ(笑)ただこれも、考え方の違いで、何を重んじるかってのがドイツと日本じゃ違うんだと思う部分もありますが。DMR然りM8然り。

DMRは手放してしまいましたが、いいシステムだと思います。ローパスレス/1000万画素なら、ローパス有りの2500万画素相当ぐらいの絵は叩き出しますし(あくまで感覚的な話ですけど)、APS-Hならフィルム用の光線の導き方でなんとかなりますしね。あげくフィルムと兼用できるわけですから。ライカらしいですよ(笑)ひょっとしてポルシェと経営者は一緒ですか??ぐらいに思っちゃいます。

S2を成立させるのは本当に難しいと思います。ただ、中判ライクのデジタルで、デジタルに特化したレンズ群を使えるとなると競合はハッセルになりますが、135ぐらいにコンパクトで、「絵」がいい、ハッセルのレンズみたいに、猛烈にカリカリではなく「レンズ」がいい、ってなると、ライカという名前もあって、デジバックを使うようなプロは手を伸ばすかもしれませんね。小さいに越したこと無いですから。バックに控えてるのがPHASEですから、信頼性もありますし。

こんなカメラは是非野本さんのようなお方に使って欲しいです。自分もお金があれば欲しいですが・・・。P25で撃沈しましたので(^^;)

それと、S2みたいなのに手を出したライカは、多分「自分たちはまだデジタルの世界で仕事をしてない」とでも思ったんじゃないですかねー。これこそ穿った見方かもしれません。ただ、お付き合いだけでフォーサーズみたいなのと付き合ったりしないと思いますよ。何か色々学ばされたんじゃないかなーと。トヨタの経営「だけ」を学んでポルシェは息を吹き返しましたが、ライカは思想そのものに触発されたのだとしたら、日本のメーカーも大したもんだなあと思います。ちょっと「そうであってほしいな」という希望が大入りですが(笑)

また長くなった・・・すいません(苦笑)近頃自分のホムペで機材論評書かないもんで、人んところを汚してたらダメですよねえ、、、すみません。

Posted by: shingai | Wednesday, 24 September 2008 12:22

ふふふ、、、(謎)

Posted by: 野本 巖 | Wednesday, 24 September 2008 12:44

野本先生、こんにちは。
shingaiさんによると、凄い絵が出来るだろうと言うことです。
Iダさんによると、大阪から1台予約が既に入っているそうです(^^;)

Posted by: ritomo | Wednesday, 24 September 2008 14:50

含み笑いが(笑)
大阪から1台??凄いなあ。。。(笑)

Posted by: shingai | Wednesday, 24 September 2008 14:56

ritomo さん、

大阪からの予約ですか、、、。
凄い絵、、、う〜む、、、。

Posted by: 野本 巖 | Wednesday, 24 September 2008 19:30

Shingai さん、

おほほ、、、(謎)

Posted by: 野本 巖 | Wednesday, 24 September 2008 19:30

野本さん、おめでとう御座います。
素晴らしいです!

Posted by: KONDOH | Wednesday, 24 September 2008 20:58

こんばんは。
S2がマウントアダプターでRレンズが使えるとなると、何かR10の発売に影響しそうですが、どうなんでしょう?
私は今回のフォトキナでライカが発表したS2から新型ノクチ、前例のない21mmF1.4のM用レンズ等、ライカにもこんな底力があるということを確認出来ただけで大変満足しております。

Posted by: 鯖猫 | Wednesday, 24 September 2008 21:01

KONDOH さん、

あらっ、、あらっ、、、(@_@;;

Posted by: 野本 巖 | Wednesday, 24 September 2008 21:30

鯖猫さん、

いえ、、R10 は、出ます(と思います)。あの CEO Kaufmann 氏は、ワンマン社長兼最大株主かつ大富豪ですから採算は考えてないと思います、、、(^^";ゞ

底力、、、要するに財政ですね、、、(^^";ゞ

Posted by: 野本 巖 | Wednesday, 24 September 2008 21:34

野本会長、再び、こんばんは!

上のコメントに「ふふふ、、、(謎)」とか「おほほ、、、(謎)」とか「あらっ、、あらっ、、、(@_@;;」といった意味不明ながら前後の文脈から判断して、どうも、S2を予約されたような気がするのですが...。
そして、掲示板でのS2及び中判デジカメに対する否定的見解は、本当はS2が気になり欲しくて欲しくて堪らない感情の裏返しのような気もするのですが...。
どうなんでしょう?

Posted by: 鯖猫 | Wednesday, 24 September 2008 21:58

あのその、、そのあの、、、(\\∇\\) 

Posted by: 野本 巖 | Wednesday, 24 September 2008 22:02

大阪かぁ、俺じゃねぇ^^;

Posted by: ボン村上 | Wednesday, 24 September 2008 22:10

聞くところによると、先代?にあたりS1ですが、1台だけ日本に入ったそうです。それも大阪の方だそうです。
もしかして、ボンはんでっか・・・?

Posted by: ritomo | Wednesday, 24 September 2008 22:57

横浜ですね

Posted by: RAVEN | Wednesday, 24 September 2008 23:00

よこはま〜、たそがれ〜、、、♪

どうしましょ、、、(-人-)

Posted by: 野本 巖 | Thursday, 25 September 2008 00:43

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